ひとりサマーバケーションEP (3) 永福中央公園〜江戸川公園
2008年05月04日

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 いつの間にやら2008年春。1年前の出来事となってしまう前にまとめとかないと、と思い久々に筆を執った、というよりはキーボードをたたいた。前回の「ひとりサマーバケーションEP (2) 久我山〜高井戸」から約5ヶ月。すでに忘れている人も多いだろう、と思いきや、記事を見ている人が元々少ない。ということは忘れている人は実際は少ないのであるが、それでも少ない読者の中では忘れている人が多いだろうということであり、それはつまり絶対的な人数か相対的に人数かということに他ならない。つまり何がいいたいかというと、もう1年もたつのだからはやく締めたいということである。

 前回、ついに隅田川までの距離が20kmをきり、海までの道のりがみえはじめた。さぁ、いっちょやってみっかっ!

永福

永福中央公園

 遊歩道の左手に、公園があります。公園の入り口があります。僕は、公園の看板を読みます。名前を―どんな公園にも名前が付いているからです。

 それは<永福中央公園>です。

 入り口に、人間が腰かけるための石・・・・・・石の椅子が四つ、あります。並んでいます。

 三人が座っているのが、わかります。

P150

永福中央公園

 疲労もたまり、本当に海までいくのか、そもそもいきたいのか、迷い始めるころ。子供たちの楽しげな声が聞こえてくる。左に広がる公園、永福中央公園だ。

 永福に住んでいる友人がいるが、その友人はひょっとしたら子供の頃に、この公園で遊んでいたのかもしれない。その頃、自分も実家の近くの別の公園で遊んでいたのだろう。子供の頃に、まったく同じ時間と空間にいたのに、まったく交わることのなかった二人が、大きくなって同じ時間や空間を共有することがあったりするわけだ。生きてきた過程も、環境も違うのに。なんとも不思議でならないし、宇宙って広いけど、自分の宇宙は案外、狭いのかもしれないね。

 作中ではここで、環八で別れたおじさんと再会、さらに双子の中国人女性と出会う。帽子を手に入れ、なぜだか、永福で11人となった彼ら。

永福通り休憩所

 ほら、とウナさんは看板を指します。それは雨ざらしのベニヤ板で、手書きの文字が<ここは公共の休けい所><きれいにしましょう・環境大切人>と訴えています。やはり休憩所でした。小さな銅像も建っています。たぶん、柱頭に腰かけた小僧、です。小僧の、像です。神田川とは反対側にある植え込みのふちが緩やかな弧を描いていて、その孤形に沿ったベンチが設えられています。

P159

永福通り休憩所

 永福中央公園からすぐにその休憩所はある。ベンチなどがあり、休憩所の体をなしているが、その中でも目立つのが謎の小僧の銅像だ。どことなく、懐かしさを感じるようなその形。のび太くんっぽいような気もするが、気がするだけで、似ても似つかないような気もする。その遠くを見つめるマッシュルームカットの小僧。小便をするようなサービス精神もなく、ただただ座るのみの小僧。その姿勢のよさには感服である。

 作中では、永福通りにあるコンビニでアイスを購入する。主人公は「プレミアムチョコレートバー」の味に感動。この「プレミアムチョコレートバー」は、セブンイレブン限定の発売だった。永福橋から最も近いコンビニは、休憩所から橋を渡ったファミリーマートだが、しばらく歩いたところにはセブンイレブンもある。そこまで買いにいく元気は私にはなく、飲み物を補給し先に進む。

ひまわり橋

 「・・・・・・ね?」とカネコさんは言います。

 「はい、ありましたね」と僕は言います。

 「あたし、発見しちゃったね」

 鉄骨のひまわり、とカネコさんが言います。鉄筋コンクリのひまわり、とカネコさんは言います。なかなか立派な、しっかり元気な、このひまわり、とカネコさんが言います。僕たちは二人で橋を渡っています。川の上のひまわりを、二人の足で叩いて、だから四本の足で叩いて、その存在を確かめているみたいに。

P176

ひまわり橋

 ついに、カネコさんが、ひまわりを発見。ひまわり橋という名の、ひまわりの、橋を。実は実際に歩いてみると、道すがらひまわりが咲いている場所もある。それでも、ここで、それを発見するという流れが、この本のひとつの読みどころ。実際に見る「ひまわり橋」は、無骨で、ところどころさびていて、ひまわりというにはほど遠いものではあった。しかし、ここまで歩いてきたプロセスを考えると、それはかけがえのない発見であるように思えるのである。

 なんらかの事情、それが何であるかはわからないが、それを抱えたカネコさんはここで生き返る。それでも海までの道のりはまだまだ長い。

北堀線

 ウナちゃんウナちゃんウナちゃん、これ、番号付き。僕はまた、子供たちの声に波長を合わせます。番号って、何? とウナさんが訊きます。ほらぁ、ナントカ線、と子供が言います。あ、北堀線、とウナさんが言います。僕とカネコさんが、子供たちとウナさんにつづいて、鉄塔の真下に到達しました。

 書いてあります、北堀線、No.28、と。

 じゃあ、29は?

 ある!

 あった!

 あっち!

P179

北堀線

 突如現われ、しばらく神田川に沿いながらそびえる鉄塔。これら鉄塔には、どうやらそのラインごとに名前があるらしい。ここで登場するのは「北堀線」だ。その名前を見るだけで、「野ブタをプロデュース。」したくなったり、集団就職で堤真一のもとで働いたりしてみたくなったり、ならなかったりする。それは堀北であることはおいといて。

 ある少年が、同じように夏休みに鉄塔のプレートに気づき、それをたどっていく「鉄塔武蔵野線」というノスタルジックな冒険映画ある。その行き着く先にあるのは、、と、いうところで、実は自分もこの映画を最後まで観たことがないので、最後に何が待ち構えているかはわからない。それでもその、少年の頃にしかできないような冒険にうらやましさを感じるし、きっとこの映画を観た後は、その道のりをたどりたくなってしまうに違いない。2008年の夏休みはこれにするかもしれない。

 同じように、少年3人が鉄塔をたどりながら神田川を下り続ける。No.34で神田川との並走は終了となるが、その間に神田川は井ノ頭通りをこえ、そして、北に向かうのである。

中野区

杉並区境、中野区境

環七をすこし離れると、神田川の左岸には市境と区境を表示する看板が現われます。三鷹市までは七・七キロ、そして中野区までは〇キロ。つまり、そこが境界です。そして看板じたいは、なぜだか杉並区の土木課が立てています。たぶん、ここは杉並区と中野区の境界でもあるのです。ずっと・・・・・・川沿いに。それから僕たちは中野区内を北上します。

P182-183

杉並区境、中野区境

 ようやく、東京23区のひとつの区を越えた。私はあんまり東京は詳しくない。23区すべてをそらでいえたりしないし、ONWARDの23区というのがブランド名であるということに最近気づいたし。だから、杉並区ってのがどんな位置づけで、中野区ってのがどんなキャラなのかがイマイチつかめていない。JR総武線の各駅停車の中野行きは、中野区にいくのだろうか? といった程度の興味である。それでもなんとなく、区をひとつ横切ったということに感動を覚えるのは確かだ。

善福寺川

それから僕たちは、もっと、ずっと神田川にとって画期的なものに出会います。善福寺川です。前方に、神田川とはちがう河川が現われて、それが合流します。Yの字を逆さにした形を採りながら、ひと筋の流れに合わさりました。

P183

善福寺川

 このあたりから川沿いの遊歩道がなくなり、場所によっては川から少しはなれた道を歩くようになる。川から離れると、「いま、ちゃんと川に沿って歩いてるよなぁ。。?」と不安になる。そして現われる、2本の川。神田川はどっちだっ? と多少パニックになりつつも、これが善福寺川との合流であることに気づく。付近をウロウロすれば、善福寺川の看板がある。遅野井の滝から11.3kmと書かれている。人でいえば、人生がそれぞれあるように、川それぞれに海までの道のりがあるということなのだなぁ。

 写真でいうと、手前から奥に流れているのが善福寺川で、この川はここで神田川とひとつになり、その役目をおえるのだ。

新宿高層ビル群

ふたたび遊歩道が生まれて、ホッとして都心側の空を眺めると、そこに高層ビル群が浮かんでいます。少し霞んで、でも、神田川の流れの・・・・・・下っている川面のちゃんと正面に。あれは新宿ですな、とおじさんが言います。じきに東京都庁も見えますな、と言います。僕たちは、それぞれに感動します。なにしろ僕たちはすっかり東のほうに来たんです。東京の中心の方に、いつの間にか。

P183-184

新宿高層ビル群

 神田川の向こうに見える高層ビル群。本当になんだか、中心に、それも東京の中心に、23区の端から自らの足で、歩んできたんだなぁ。電車や、車で来たときとは、またちがった見え方のする、いわゆる「東京」の姿に、小学校5年生くらいのときに初めて原宿の竹下通りを歩いたときのように、久々に感動を覚える。でも、新宿から海って、どれくらいかかるんだろう。この太陽の季節に。と都庁の近くであることを意識しつつ、ふたたび歩を進める。

 井ノ頭通りから青梅街道まで、きっちり1時間。それが彼ら11人の移動時間。

淀橋

 子供たちが言います。青梅街道を横断歩道を踏んで渡った僕たちは、ふたたび神田川沿いに戻って、そこの幅広のなかなか堂々とした橋を発見します。橋の左右それぞれの端に石造りの太い柱があって、そこに紋章と<淀橋>という橋の名が彫られていたのです。ウナさんが子供たちに、これなんて読む? と訊かれて、これヨドバシって読むな、と答えたのでした。

 「ヨドバシって、あのヨドバシ?」

 「カメラー」

 「またまた夏休みの秘境、発見!」と子供たちが叫びます。

P185

淀橋

 淀橋、ヨドバシ。あのかつてカメラ屋さんだったモノの由来の地名の由来、ともなっているこの橋。さらに昔、エド・はるみ、じゃなかった江戸時代に、この橋は、「姿見ずの橋」とか「面影橋」なんて呼ばれていたそうだ。中野長者伝説に由来するその伝説は、なんだかんだあって、この橋を花嫁が渡ると行方不明になってしまうというものだとか。元祖、都市伝説といったところか。ちなみに私はウィンドウショッピングするなら、服でもなく、雑貨でもなく、家電製品という家電製品マニアだった。某カメラなんかにいくと、3時間でも4時間でも時間をつぶせた時期もあった。今はもうそんな時間もなく、あの自由だった時間をふと懐かしくも思う橋であった。

 実はこの橋は、中野区と新宿区の区境でもあり中央付近で別れている。そんな橋を渡りつつ、ふたたび現われる遊歩道に沿いながら11人はひたすら海を目指す。

里程標(十一・〇)

 「リテーヒョー!」と子供が叫びます。

 そうです。それが、ひさびさに見出された里程標でした。

 源流までは十三・六キロ、とあります。

 隅田川までは十一・〇キロ、とあります。

 「これってさー」と子供が言います。

 「おう」とウナさんが言います。

 「大逆転?」と子供が言います。

P193

里程標(十一・〇)

 新宿の途中で、神田川の源流からの距離より、隅田川までの距離の方が近くなる。ようやく半分を超えたということだ。

 人生は、美空ひばりの、というよりむしろ秋元康のいうように川の流れのようである。ということは、今の地点では人生の半分くらいということだろうか。神田川もだんだん幅が広がり、それでいて流れは穏やかになったような印象を受ける。やっぱり、長いこと流れると、貫禄がつくのだなぁ。川も、人も。

 ふと、すでに人生が平均的にいえば3分の1を過ぎていることを思い出し、涙そうそうである。

JR中央線高架

 高架です。神田川に架かるように、高架の、線路が。でも井の頭線ではありません。もちろん、ちがいます。僕たちは井の頭線からは、遙か遙か、遠いところに―。

 「ジェイアール!」と子供が言います。

 「チューオー線!」と子供が言います。

P194-195

JR中央線高架

 オレンジ色が鮮やかなJR中央快速線が、黄色がまぶしいJR中央・総武線が神田川を横切る。とはいっても最近は、ラインが入るだけのちょっと味気ない、汎用的な車両が多いのが少しさびしかったりする。とくにJR中央・総武線は、沿線にに住んでいるだけあって昔から「黄色い電車」として馴染み深かっただけに感慨深くもなる。

 神田川は東京のいくつかの路線と交わるのだが、京王井の頭線の次はJR中央本線であった。名前からしてもう、中央。23区の端から、中央まできた。

 ここで、これまでの冒険を随所で盛り上げてくれた3人の子供と別れる。もちろん、本の中での話だ。東中野での話だ。東中野駅で離脱する彼らに、みんな、「さようなら」は言わない。そして、主人公の僕、ウナさん、カネコさん、イギリス人さん、へその女の人、おじさん、北京さん、広東さんの8人となり、旅は続く。

里程標(一〇・〇)

 「うん、あと十キロ」とカネコさんが言います。

 「はい、隅田川まで」と僕が言います。

 「すると、この一歩で―」とおじさんが、下流側にぴょん、と横跳びします。「―ほら、十キロを切ってしまいました」

 すごい、と僕は思います。

 僕たちはほんとうに、歩いています。

 僕たちはほんとうに、歩いてきました。

P204-205

里程標(一〇・〇)

 隅田川までの距離が、一桁台のキロメートルとなる、その瞬間。私は普段、距離なんて気にしないし、なんというかあんまり距離感というものを持ち合わせていない。東京から大阪まで、どのくらいの距離か、イマイチピンとこない。新幹線で2時間半くらいだから、新幹線が200km/hだとしたら500kmくらいかなぁ、となんとなく思うのだけど、だからといって常に今いる場所から、目的地の場所までの距離を考えていることは少ない。ひょっとしたらこの感覚が私の方向音痴で、時間にルーズな性格の一因であるのかもしれないと、ふと思った。もちろん、ふと思っただけなので、何の根拠もないし、そういった性格を直すつもりもあまりないのだけれども。

 実際に歩いてきて、このあたりですでに日も傾きかけている。日の長い、夏でも。作中では、公園で中華料理のデリバリーを頼む。そしてちょっとしたパーティのような夕食。ここで、新宿区の評議会の中学生たちと出会い、自転車に二人乗りで、風になる。8人と8人で。一方、そのころ。ひとり旅の私は、ひたすら歩き続けるのであった。

小板橋車庫

 覗けましたね。車庫でしょう。緑色が特徴的な都バスが、きっちり、わんさか整列しているでしょう。あれら都バスはですね、ここから東京じゅうに網の目を張るように散らばります。<小板橋車庫前>を起点にしているのは、飯田橋駅前行き、新橋駅前行き、九段下行き、上野公園行きの四系統ですが、この営業所は高田馬場駅や早稲田大学を起点とした系統も管轄してますし、そもそも路線と路線はあちらこちらのターミナルで連結して、乗継が可能です。ですから、自分たち評議会は「中野区はここから、都内の各所にあらゆる都バスをまき散らしているのだ」と解釈しています。

P224

小板橋車庫

 あまり、乗る機会もない都バス。たしかに、緑色のラインが印象的。バスの数や出入りの多さに、まさにバスの基地と感じる。東京のいろいろなところへ提供される、都民の足。

 私は、都バスに乗る機会もないが、だからといって地元のバスに乗る機会もあまりない。理由は、基本的な足は自転車であるということもあるが、なんといっても車酔いしやすいからである。小さな頃から酔いやすく、小中学生時代の社会化見学や修学旅行では、酔い止めやあめちゃんなどの口をさびしがらせないお菓子が必需品であった。なぜか特に効くのが、UHA味覚党の「シゲキックス」であったことも記しておく。とにもかくにもそういうわけで、バスは苦手なのだ。最近、深夜バスに乗る機会も会ったのだが、酔うまい酔うまい、と思えば思うほどよってしまうのがバス酔い熟練者の基本である故、やっぱり酔ってしまった。だからといって最終の深夜バス。途中で降りるわけにも行かず、社会人なのにベルトを緩めてぐったりしてしまったのだ。バスでの失敗談は数多くあるのだが、それはまた別の話。

 新宿区の評議会の会長さんである、風格漂う中学生の背中で、新宿区の話を聴きながら自転車で風になる8人と8人。

新宿区

落合中央公園

 「親水公園と、言いましたかな?」とおじさんが訊きます。

 「正式名称は<落合中央公園>です。ここの設備の、二階にあります」と会長さんが説明します。「この設備じたいは下水道局のもので、汚水を処理しています。巷に言う水再生センターってやつです。自分はここで、あらゆる汚水が美しい水に生まれ変わるのだ、と聞いています。思うに汚水の輪廻転生です。

P229

落合中央公園

 神田川を歩き始めて、いくつめの公園だろう。川のほとりには、とても公園が多いことに気づく。しかしこの公園は、なんと階段を上った、二階にあるのだ。一階には、水再生センターがあり水をきれいにしている。昭和62年からこのセンターのろ過施設が稼動し、平成4年には神田川に鮎が戻ってきたそうだ。となりには、水をふんだんに利用した「せせらぎの里公苑」もあり、その水の浄化力に感服。水が蒸発し、雲となり、地上に降り注ぐというところに輪廻転生を感じていたが、汚水が浄化されることもなるほど輪廻転生とも思えるかもしれない。

 かつて生活排水の流入により「死の川」と呼ばれた神田川は水質改善の活動により、輪廻転生、現代によみがえったといえよう。

高田馬場分水路

 分岐が見えます。いっぽうは地中に呑み込まれる、乾いた水路です。それは神田川の分水路です―

 ―ブンスイ、路、ですか?

 ずばり、水をわける、路、です。正式名称は<高田馬場分水路>です。ここで神田川の水をわけます―

 ―でも、何のために?

 洪水を放流するんです。ええ、そのために新たな水路を開いたんですよ。堅牢無比なるコンクリート擁壁の神田川といえども、やはり川は川、時には洪水を―

 ―起こすんですね?

P235-236

高田馬場分水路

 大きなコンクリートの口に飲み込まれる神田川。いったん、暗渠となる。川を道しるべとして歩いてきた身としては、歩いている方角があっているのか、ちょっと不安になる。

 神田川は江戸時代につくられた、人工の河川。神田上水から隅田川までの流れが整備されたのも、水害、つまり洪水の対策であった。洪水の対策として整備された川に対しての洪水対策。決を採るかどうかの決を採るような感覚がなきにしもあらずだけど、リスク対策ってのはいつでも万に一つ起こるか起こらないかということに対して、一所懸命にならなきゃいけないってのが皮肉というかなんというか。。

西武新宿線

 ―会長さん、あれは?

 あれは鉄道です。西武新宿線ですよ。もう、下落合の駅より東側に来ました。ほら、前方の―

 ―あれが、踏切?

 そうです。ずばり踏切で―

 ―電車の川ですね。

P236-237

西武新宿線

 西武新宿線、というか西武鉄道とはほぼ、えんもゆかりもない。唯一ありそうなのが、西武ライオンズ球場(当時)に試合を見にいったときくらいだろう。どういうルートで観にいったか覚えていない。新宿でおりて、どこかのレストランでビフテキ(当時)を食べたような覚えもあるので、ひょっとしたらこの黄色い、西武新宿線に乗っていたかもしれない。もしくは、西武池袋線かもしれない。きっと、西武球場前駅でおりただろうから、西武狭山線か西武山口線には乗ったことはほぼ確実だが、実際はどのようなルートでであったか、ようとして知れない。

 暗渠となった神田川の上を、電車の川が流れている。

高田馬場

 それから、一つめの高架の真下を、ぬけます。

 会長さんが、これは山手線です、と言いました。

 それから、二つめの高架の真下を、ぬけます。

 会長さんが、これは西武新宿線です、と言いました。

 右手にあるのが、高田馬場の駅ですよ、と言いました。

  :

 「おれはさ」とウナさんが言います。「感動したよ、山手線の内側に入って。山手線って、やっぱり都心のシンボルじゃん? だから、いよいよ・・・・・・いよいよ本物の東京の中心なんだなって」

 「もうすっかり、東ですね」と僕は言います。

P246,248

高田馬場

 高田馬場って、高田なのか、馬場なのかはっきりしろっ! と思っていた。今もその気持ちに変わりはないが、それはどうでもよいことである。ここ高田馬場は、なんと鉄腕アトムが生まれた地だという。それに由来し、高田馬場駅の発車ベルはあの音楽らしいが、これもあんまりどうでもよいことである。

 さかえ通りを一人で歩き、なんとなく恥ずかしさを感じながら、高田馬場駅前に出る。見上げると、何本かの線の高架。ついに、山手線の、円の、内側に。井ノ頭公園からはじまった川も、すっかり東まで流れてきた。京王井の頭線、JR中央線と交差した神田川は、東京の中心のおんなじところをグルグル回る、ある意味でやっぱり人生を象徴しているような気もするJR山手線とも交差する。

妙正寺川

 そして、ここです、いま通過しましたが、ここにこそ<高田馬場分水路>の出口があって、とうとう妙正寺川が合流しました、すばらしい川幅! まるで大河! しかし、あの合流地点は残念ながら豊島区、こちらの川岸は新宿区です、横断歩道を渡りましょう、ほら、これは踏切で・・・・・・それも都電の踏切です、と会長さんは言いました。

 路面電車の、都電荒川線ですよ、かわいい車輛なんだなぁ、自分は大好きです、と会長さんは言いました。

P258

妙正寺川

 妙正寺公園から流れる、妙正寺川と合流する。神田川のはじまりは、川幅2,3メートルの水路だったが、ここにきていくつかの川と合流し、かなり大きな、20メートルはあろうかという川幅となった。この合流が見える橋と平行に、都電荒川線の鉄橋がかかっている。走り抜ける、1両編成の車両がゆっくりと走り抜けるその姿は、いとをかしである。ちょっと古すぎた、とても趣があり、情緒あふれている。夏休みだからであろうか、ペットボトルをひもにつるして、神田川の水をくみ上げていた親子がいた。きっと自由研究のタイトルが「神田川の水質の純粋さと、私の心の純粋さ」とかなのだろう。

 自転車にニケツしての移動中に、新宿区の評議会が、豊島区の評議会と鉢合わせ、8人と8人は取り囲まれてしまう。そしてはじまる、ルービックキューブを巡る戦い。

江戸川公園

 公衆電話があります。ボックスです。電話機は緑色で、カード式です。この<江戸川公園>の広場には、時計もあります。ポールの時計です。八時をすぎています。それで・・・・・・それで僕は、歩き出します。それで・・・・・・それで僕は、夏が大好きです。夏が僕を助けるからです。それで・・・・・・それで僕たちは、彼らを助けました。会長さんと、七人の会員さんたちを。最初、僕たちは彼らに助けられて、人力なのに新しい速度を得て、こうして神田川の下流の、文京区の<江戸川公園>まで到達しました。その途中、僕たちが彼らを助けました。それで・・・・・・それでこれは冒険です。

 僕はこの冒険をつづける必要があります。

 あります。

 だから。

P273-274

江戸川公園

 神田川に沿っているのに、江戸川とは近くもないのに、この公園は「江戸川公園」という。近くには、東京メトロ有楽町線の江戸川橋駅がある。そう、「江戸川橋」という橋は確かにこの近くに架かっているのだ。このあたりの神田川は、昭和40年ごろまで、江戸川と呼ばれていた。その名残とのこと。別の場所、東京と千葉の県境に利根川水系の江戸川があるが、まったく関係がないのである。なんとなく不思議な感覚に陥る場所だ。

 もはや夜である。主人公の「僕」は<家>に「外泊許可」をもらうために、ここにある電話ボックスから電話をかける。私はひとり暮らしなので、外泊許可をもらう必要もないが、ここから家に電話をかけてみた。しかし、10円では30秒と話せず。電話ボックスを使うことなんてめったにないけど、10円で話せる時間は遠ければ遠いほど短くなる。ドニーチョがない頃の遠距離恋愛だとか、携帯電話がない頃の遠距離恋愛だとか、ウィルコムやソフトバンク同社間通話無料がない頃の遠距離恋愛だとかは、大変だったろうなぁ。。と考えたがあまり縁がないことなので考えることをやめた。

次回予告

 ブルマ「ふふ、あんな小さかった神田川なのに、、、いまは日本橋川よりも大きく見えるなんてね、、、」

 神さま「海だ、海がみえるんだぞ わたしのあとを引き継いであるくのは おまえいがいにはおらんのだ!」

 孫悟空「べー 筋斗雲よーい!!! みんなバイバーイ!!! また会おうなーっ!!! それーっ!!!」


 亀仙人「最終回じゃないぞよ もうちっとだけ続くんじゃ」


その他の参考情報

サマーバケーションEP関連記事

サマーバケーションEP
ASIN:4163257209:image:small#引用元引用元

 記事中の引用は、古川日出男著「サマーバケーションEP」からの引用であり、ページ数は引用元のページ数を表わしていますよ。

 記事は、あくまで私の文章が主、引用文が従となるよう配慮して執筆しています。問題がある場合はご連絡ください。

参考サイト

地図

東京超詳細地図 ポケット版
ASIN:4415301207:image:small#東京歩きのお供東京歩きのお供

 東京の道には詳しくなかったし、事前にどういう道を歩くかを調べたかったこともあって、地図を購入しようと思い立ち、さらに持ち歩こうとも思っていたので小さいやつ、ということで「東京超詳細地図 ポケット版」を選択。最近の地図って見やすくてよくできてるなぁ、と感心。方向オンチなおいらでも、きちんと、海までたどりつくことができたよ。

大体の距離、旅程

  • 神田川:24.6km
  • 隅田川:23:5km(神田川合流地点から海までは、約5〜6km)

たぶん、30km前後、歩いてます。ちなみに、2008年北京オリンピックの長野の聖火リレーは18.7km。。まだまだだなっ!


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コメント

極東 (2008年05月05日 22:58)

こんちは、今年のGWは本当に引きこもってしまった極東です。

あぁ。
前回のもコラムにレスするの忘れてたぁぁ…!
でも鉄筋さんが言いたいことを一言にまとめてくれてるから、まぁいいかぁ。

さて、次回予告くらいしか突っ込むところが無いのだが、どうすればいいですか?
よし。ここは敢えて何も突っ込まず、ただひたすらこの記事が早く完結することを祈っております。

というか、今年も歩く気なのかい…?

モコ (2008年05月07日 01:23)

> さて、次回予告くらいしか突っ込むところが無いのだが、どうすればいいですか?
> よし。ここは敢えて何も突っ込まず、ただひたすらこの記事が早く完結することを祈っております。

バカモノーっ!
じっくり読むと味が出る、そんな良質なネタが盛りだくさんだっつーの!

極東。。。
貴様それでも男か。。。?
「男なら…つっこんでやれ!」だ!!


> というか、今年も歩く気なのかい…?

今年はちょいと、どこか遠くへ行きたいような、
そんな日曜の朝のような気持ちです。

極東 (2008年05月07日 21:25)

> 極東。。。
> 貴様それでも男か。。。?
> 「男なら…つっこんでやれ!」だ!!

な、なんて素敵な言葉だ…
何を突っ込めばいいのかよく分からんところがまた男らしいぜ。
あんた、あんたホンマにすっきりや!

…アホか!

> 今年はちょいと、どこか遠くへ行きたいような、
> そんな日曜の朝のような気持ちです。

日曜の朝にはもう「サザエさん症候群」なワスには、
どんな気持ちなのか理解できないのであった。

モコ (2008年05月11日 05:04)

> あんた、あんたホンマにすっきりや!
> …アホか!

まぁ、想像通りの結果ですな。
まさに、アホです!


> 日曜の朝にはもう「サザエさん症候群」なワスには、
> どんな気持ちなのか理解できないのであった。

社会でたくねー。。。
(と思ってから早4年。。。)

まぁ、おいらの日曜の朝も「遠くへ行きたい」のは、
「気持ち」と「番組の内容」なだけだけど。

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